2013-03-04から1日間の記事一覧

020:嘆(莢)

蝋石で暗渠の上に絵を描く子 嘆きの川からすこしはなれて

021:仲(莢)

星ぼしが仲違いする夜なので子猫も鳥もおもてを見ない

022:梨(莢)

梨の実をありの実と言うようにして冥府の際を跨ぐためらい

023:不思議(莢)

渡る鳥だけが不思議と知覚する郷愁に似た風の信号

024:妙(莢)

声帯を出ればくるしい意味としてときに妙なる歌として 息

025:滅(莢)

自らを巻き戻してはかなわずに春は滅びる滅ぼしながら